>>かわぐち呼吸器内科クリニック 院長 川口 俊先生のプロフィール
マイコプラズマ肺炎とは、発熱・咳・倦怠感・頭痛などを主症状とする呼吸器感染症です。
潜伏期間は1~4週間で、発症すると発熱に続いて咳が出現し、解熱回復した後も乾いた咳が3~4週間続く場合があります。
合併症としては無菌性髄膜炎、脳炎などの中枢神経系症状、発疹等の皮膚病変、肝炎などの肝機能障害が報告されています。
かつては夏季のオリンピックの開催年に流行が見られたため、「オリンピック病」と呼ばれたこともありましたが、現在では毎年みられるようになりました(下記グラフ参照)。特に今年は近年にない流行を認めています。
普通の風邪によくみられる鼻水やタンは少ないのですが、最初の症状は38度位の熱と咳ですので普通の風邪と見分けにくい感染症です。
特徴としては、なかなか止まらない乾いたコンコンという咳です。
レントゲンでは他の一般的な肺炎と違って、淡いかげを示す場合がほとんどです。
また、肺炎に至らず上気道炎、咽頭炎、気管支炎にとどまりレントゲンで異常を示さない場合も珍しくありません。この場合はマイコプラズマ感染症ではありますが、正しくはマイコプラズマ肺炎とは言いません。こうなると風邪との見分け方は、家族の発症や血清診断を参考にしないと医師でも診断は困難です。
マイコプラズマ肺炎は、5~6歳から30代の若い世代に多くみられます。
国立感染症研究所の感染症発生動向調査(下記グラフ参照)によると未成年が80%くらい、60才以上の高齢者は全体の4~6%と少ない目ですが、ここ数年は10年前に比べ増加傾向にあります。
マイコプラズマに対する予防接種はありません。抗菌薬の予防投与も一般に行われません。
特異的な予防方法はなく、流行期には手洗い、うがいなどの一般的な予防方法の励行と、患者さんとの濃厚な接触を避けることです。
感染を広げないためのポイントは、咳エチケットと手洗いです。
咳があるときはマスクを着用しましょう。
咳やくしゃみをする時はティッシュやマスクを口と鼻にあて、他の人に直接飛まつがかからないようにしましょう。
マイコプラズマ肺炎の治療方法は、マクロライドと呼ばれる抗菌薬による化学療法と、発熱や咳の症状を抑えるための対症療法になります。マクロライドが無効の場合、テトラサイクリン系抗菌薬(学童期までは歯牙の発育に影響)やニューキノロン系抗菌薬が使われます。
ほとんどの場合、外来の内服治療で治ります。
外出を控え、医師の指示に従い、服薬・安静に努めましょう。
――――――本日はありがとうございました。
お話を伺った先生:川口 俊先生(かわぐち呼吸器内科クリニック・大阪府東大阪市)
【専門医・資格】
【所属】
https://www.ddmap.jp/0667308259
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