熱中症対策(後編)‐ きむ循環器内科医院 金 智隆先生

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Q5.熱中症にならないための予防法を教えてください。

まずは充分に水分補給をすることです。それも水だけでなく、塩分を一緒に採ることです。痙攣(けいれいん)が起こるなら必ず塩分を一緒に採ってください。塩を少し入れたお茶やスポーツドリンクを飲むといいでしょう。他には、神経がたくさん通っている首の部分を冷やしたりするのは有効な予防法ですね。そして快眠快食を心がけることが予防で非常に大事です。夜間は体力を戻すためにも充分寝られるような環境作りを心がけたほうが良いでしょう。湿度が低ければ、窓を開けて部屋の温度を下げてください。今年は節電の動きもありますが、かと言って無理に節電して体を壊しては元も子もありませんので、社会に迷惑をかけない範囲で自分自身の体の健康を考えてください。


Q6.水分補給の話の中でスポーツドリンクがいいとおっしゃっていましたが、スポーツドリンクは砂糖が大量に入っていて身体に良くないイメージがあるのですが?

確かにスポーツドリンクには砂糖は含まれています。ですが、糖分と塩分を水と一緒に補給すると、塩分と水だけを飲むよりも、より水分の吸収が良くなるのです。そういった意味ではスポーツドリンクはよくできています。しかしカロリーを取りすぎたらだめな人は、塩を入れたお茶のほうがいいかもしれませんね。


Q7.他にはどんな予防法がありますか?

これが最も重要なことなのですが、運動をして汗をかくことです。運動するくせがないと、自律神経が働かず汗をかきにくくなります。そうなると体温調整ができないので、身体に体温がたまりやすい身体になります。そういった身体ですと、熱失神、熱痙攣と段階を踏まずいきなり熱疲労や熱射病になることが起きてきます。人間は汗をかくことでしか体温調整ができませんので。汗をかく癖がある人はちゃんと段階を踏んでいきます。

そういったことからも、運動をして汗をかく習慣をつけることが大事です。もちろん汗をかいたら水分補給をしてくださいね。


Q8.汗をかくのは運動でないとだめなのですか?

いえ、サウナなどでもかまいません。自律神経の働きを活発にすることが目的ですので。サウナに入って冷たい水に入り促進させるとよいでしょう。心臓の悪い方はやめたほうがいいですが。


Q9.運動で汗をかく習慣をつける場合、どのくらい運動すればいいのですか?

運動と言うと息切れするぐらいのハードなものを想像する方が多いと思うのですが、そこまでする必要はありません。汗をかいて新陳代謝を活性化することが目的ですので、ウォーキングでも充分です。汗をかく程度の速さで30分以上ウォーキングすると良いでしょう。しかし年齢によって個人差もありますので、主治医の先生と相談して運動の範囲は決めてください。


Q10.夏バテにならないためにはどうしたらいいですか?

現代の夏バテは多くの場合、クーラー病、冷房病であることが多いですね。クーラーの効いた場所に居続けることで、自律神経が徐々に弱っていき、汗が出ない身体になり、身体の調子が悪くなります。

ですから予防としては熱中症と同じように、クーラーの効いたような、涼しいところにいすぎない。運動をする。これが夏バテ予防に効果的でしょう。他には、冷たいものばかり食べ過ぎないことも大事です。冷たいものを食べ過ぎると、内臓が冷え、胃腸の働きが弱っていきます。そうなると食欲がなくなり体力が落ちていきます。そこで、食欲が湧かないからと言って冷たいものばかり食べていると悪循環に陥ります。冷たいものを食べてもいいですが、食後に温かいお茶を飲むなどして対応してください。


<余談>

言葉だけ知っていてもちゃんと理解されていない病気が意外に多く感じます。
例えば…

高血圧、低血圧って何?
高血圧(症)は血圧が高くなること、ではありません。静かにしているのに、血圧が下がらない状態が高血圧です。血圧が高い状態を高血圧(症)というなら、マラソン選手なんかはみんな高血圧(症)になります。
低血圧(症)は血圧が普通より低いことや、血圧が上がらないことではなく、血圧が上がらなくなって日常生活に支障をきたすようになったら低血圧(症)です。血圧が一般の人よりも低く、70とかでも生活できるなら全く問題ありません。血圧が低いほうが心臓に負担が少ないのです。つまり極端な話、日常生活に問題がなければ低ければ低いほどいい。しかし例外もあるということは忘れないでください。

―――――― 本日はありがとうございました。


―――――― 前編に戻る。


お話を伺った先生:金 智隆先生(きむ循環器内科医院)


【略歴】

  • 平成5年 北海道大学医学部卒
  • 平成5年 大阪府立病院勤務(現:急性期医療センター)
  • 平成9年 大阪大学医学部医員
  • 平成13年 国立循環器病センター勤務
  • 平成20年 国立循環器病センター客員研究員(兼務)
  • 平成22年 きむ循環器内科医院 開院

【専門】

  • 循環器内科学
  • 医療情報学

【資格等】

  • 第11回日本心不全学会学術集会 YIA最優秀賞