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2022年 「新型コロナ後遺症 慢性上咽頭炎 と うつ状態の関係について~うつの東洋治療」 – 医療法人裕泰会 足立医院 医師 足立 裕一 先生

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慢性上咽頭炎 と うつ状態の関係について、足立医院の院長、足立 裕一 先生にお話しを伺いました。

新型コロナウイルスに感染した方の内、長期にわたって様々な後遺症に悩まされている方が多いようですが、コロナの後遺症にはどのような症状がみられるのでしょうか?

まず、新型コロナに感染した場合の症状の大きなポイントとしては、体のだるさ、息苦しさの2つです。
その他、嗅覚・味覚障害、脱毛、うつ状態の6つが後遺症の症状だと考えます。当院でもこれらの症状を訴えて来院される方が非常に多くなりました。

コロナ感染症の症状で「慢性上咽頭炎」がありますが、これと後遺症の一つ「うつ状態」とはどういった関係があるのかについてお話をお伺いしますが、まず「上咽頭」とはどこにあるのですか?

上咽頭はちょうど喉の突き当りの上部の部分にあります。この部分の炎症を見つけるのはファイバースコープを通してもわかりにくい箇所です。しかし、こすってみると赤くなって、炎症を起こしていることが分かります。

上咽頭が炎症を起こすとどのような症状になるのでしょうか?

上咽頭は喉の中でも大変微妙な場所で、迷走神経が張り巡らされていて免疫と関係があります。例えば上咽頭をこすると迷走神経を刺激し、しゃっくりがピタッととまるというようなことがあります。また、新型コロナ感染症の後遺症発症は10%程度と言われていますが、今後最も危惧しているのは慢性腎臓病(CKD)です。コロナ感染後遺症による慢性上咽頭炎が5~10年続くと慢性腎臓病(IgA腎症等※)発症の可能性が出てきて、人工透析が必要になることを想定しなければならないのではないかと心配しています。いずれにせよ慢性上咽頭炎を治すことが大事だと思っています

※IgA腎症:腎臓の中に100万個近くある糸球体という、ろ過装置に IgA(免疫グロブリンA)というタンパク質が沈着して、炎症などを引き起こす。その後血尿やタンパク尿などがみられるようになり、徐々に腎臓の機能が低下する。

慢性化すると辛い症状が長く続きうつ状態を引き起こす原因になるということでしょうか?

先程も申しましたが、上咽頭には自律神経であるところの迷走神経が張り巡らされています。上咽頭が炎症を起こすと自律神経失調症をきたすことがあります。そうなると色々な 不定愁訴 ふていしゅうそ (※)が出てきてうつ傾向に入っていきます。

※何となく体調が悪いという漠然とした自覚症状を訴える人が医療機関を受診しても、不調や不快感につながる明らかな病変が見つからない状態。

足立医院では、西洋医学だけではなく東洋医学も積極的に取り入れた治療を行っておられますが、このようなうつ状態ではどのような治療をされているのでしょうか?

慢性上咽頭炎からくるうつ状態は、精神的なうつではありませんので、抗うつ剤を用いての治療ではなく、上咽頭炎さえ治せばうつは治るのです。慢性上咽頭炎を治すということに着目すれば、まず一つは「鼻うがい(塩水うがい)」です。目安の濃度は小さじ2/3杯の塩を500㏄のミネラルウォーターに入れ、それを2㏄ずつスポイトで鼻に入れていきます。塩の殺菌作用により効果があると思われるので、朝晩毎日続けると炎症の度合いにもよりますが、約2週間で炎症が治まってくるようです。他には針治療や「ツムラ109小柴胡湯加桔梗石膏 しょうさいことうかききょうせっこう 」という漢方も処方しています。石膏は炎症を抑え、桔梗の根が喉の痛みをとり、小柴胡湯はウィルスに効き目があります。抗うつ剤は使わずに、これらの治療を行っています。

これからもまだまだ新型コロナの後遺症で苦しまれる患者さんが増えると思いますが、辛いうつ状態から、早く脱却できるよう多くの患者さんを助けていただきたいと思います。
本日は、ありがとうございました。

お話を伺った先生:足立 裕一 先生(足立医院・京都市北区

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