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2019年 「めまいについて」 – 大阪なんばクリニック 名誉院長 中川原 譲二 先生

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春は、寒暖の差が激しく、身体的、精神的に不安定になりやすいと思います。「めまい」を感じる人も沢山いらっしゃると思いますが、いかがでしょうか?

そうですね、季節の変わり目は自律神経の乱れなどもありめまいも増えます。
めまいには、症状から大きく分けてぐるぐる目が回る「回転性めまい」と、ぐらぐら、ふわふわする「動揺性めまい」があります。(フワフワを浮揚性と呼ぶこともあります。)

まず、多いのがぐるぐる回る回転性めまい。これには、良性発作性頭位めまい(「りょうせいほっさせいとういめまい」)、メニエル病、その他前庭神経炎(「ぜんていしんけいえん」:風邪などをきっかけとして前庭神経に生じる炎症)などがあります。これらは、内耳に何らかの障害が起きて発症します。末梢性のめまいとも呼びます。
良性発作性頭位めまいは、耳石の剥離などが原因で起きます。
めまいと共に耳が聞こえにくくなるような症状があれば、メニエル病の疑いがあります。
前庭神経炎、突発性難聴なども内耳障害によるめまいの原因となります。どちらかというと、回転性は良性で、動揺性は悪性とも言えます。
動揺性めまいは、小脳や脳幹など中枢神経に障害が起きて症状が出るものです。同部の脳腫瘍や椎骨脳底動脈(「ついこつのうていどうみゃく」)の血管病変(血管が詰まったり血流が悪くなる)が原因で起きるため、末梢性に比べて、これらの「中枢性のめまい」には注意が必要です。
また、頚部(「けいぶ」:クビ、首)の変形性頚椎症(「へんけいせいけいついしょう」:加齢により頚椎が変形)や自律神経障害、あるいは頚動脈の狭窄(狭くなる)でもめまいがおこります。例えば、肩こり、首こりなどを持っている人がめまいを起こす場合、変形した頚椎による椎骨動脈の圧迫や頚部の自律神経の障害が小脳や脳幹の循環不全を誘発し、めまいが起きることがあります。こう言ったものは、対処療法でめまいを抑えるのではなく、肩こり、首こりの原因を精査し、適切な対処が必要です。枕が高すぎるなど、正しい姿勢で眠れていない場合、首に負担がかかって肩こりやめまいが起きたりします。
頚動脈の狭窄がめまいの原因となる場合は、大脳の循環不全がめまいを誘発します。めまいがおさまっても手がしびれるとか、物が二重に見えるなど、めまい以外の症状がある場合、要注意です。これらは、脳梗塞の前触れかもしれません。つまり、自覚症状はめまいなのですが、脳梗塞が原因でめまいが起きていたりします。
特に、めまいと合わせて付随する症状がある時は、ちゃんと原因を調べた方がよいです。いわゆる神経症状がある場合は、気を付けましょう。

普段から、元気な人は自覚症状だけで自己判断するひとも多いと思いますが、倒れて意識がなくなった場合だけでなく、近くにいる人が、言葉が怪しくなっているとか、顔の表情に歪みが生じているとか、手足のマヒや動作がおかしいなどがあれば、迷わずに救急車を呼んだ方が良い。
つまり、自分はめまいだから大したことはないと思い込むのではなく、症状が軽くても周りの人に声をかけて客観的に様子を見て貰っておいた方が良いということです。自覚症状による自己判断だけでは、リスクがあり緊急を要する場合もあるのです。

めまいが起きたらどうすればいいですか?

とにかく、原因をちゃんと調べることが重要です。
めまいの原因がはっきりすれば、治療はきまってくるので、まず原因を明確にします。 肩こり、首こりなど頚に問題がある場合は、レントゲンを取れば診断できるので、めまいの原因が、内耳なのか、脳なのか、クビなのか診断してもらいます。
回転性だと自覚するなら、耳鼻科を受診してください。必要に応じて脳神経外科での検査を指示されると思います。
動揺性なら、脳神経外科ですが、めまいのタイプが自分でよくわからない場合は、どちらも診て貰えそうなクリニックや病院へ行って診断してもらうのが良いと思います。

他にめまいについて注意することがあればお願いします。

高血圧を治療中の人に起きやすいめまいがあります。第4の原因とも言えますが、起立性低血圧というのがそれです。
起立性低血圧は、立ち上がる時にふらっとなるわけですが、血圧の薬を飲んでると起こりやすい症状です。
高血圧の治療には、降圧剤を飲み続けることは必要なんですが、血圧を下げる薬なので、急に立ち上がったりすると、血圧が下がり、その回復が遅れるので、くらくらします。しかし、そうなるからと言って、血圧の薬を飲むのを止めると高血圧は改善しません。
つまり、治療は続けて立ち上がる時はできるだけゆっくり立ち上がるように気をつけるのが良いということになります。

インタビューの最初にあったように、自律神経の乱れはめまいや、様々な不調を体に引き起こす原因になります。不安から来る緊張が原因ですなのですが、メンタルの原因だけでなく、実際にからだも不安定になります。そういった不安から、一種の緊張が生まれて様々な不調を発生させます。
雨の日や、寒い日など自律神経が乱れやすくなるので、不安定になる人は、睡眠をしっかりとるとか、寒い日は体を温めるためにぬるめのお風呂にゆっくり入るとか(熱い湯に入ると倒れたり、沈んだりすることもある)、あるいは医師から精神安定剤を貰っている人は、不安定になりそうならそれを飲むなどして対策を取ることをお薦めします。
特に高齢者などは、めまいで転倒しやすく、寝たきりになったりすると大変ですから。


――――――めまいに悩んでいる人は、ちゃんと診断を受けて原因をハッキリさせ、的確な治療を行うということと、めまいを軽く見て自覚症状だけで自分で判断するのはリスクを伴うということですね。
大変参考になりました。ありがとうございました。

お話を伺った先生:大阪なんばクリニック 名誉院長 中川原 譲二 先生

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