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2022年 「受診控えや治療中断による歯のリスクとは」 – 谷歯科クリニック 歯科医師 谷 啓次 先生

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受診控えや治療中断による歯のリスクについて、谷歯科クリニックの院長 谷 啓次 先生にお話しを伺いました。

コロナ禍の中、受診控えや治療中断があらゆる診療科で問題となっていますが、受診控えや治療中断は歯にとってどのようなリスクがありますか?

歯の病気の中で中断することで最もリスクが高い病気は、「歯周病」ですね。
当クリニックでは、「歯周病」の患者さんには、基本的に重症の方で毎月、中程度の症状の方で3ヶ月に1回、軽症の方で半年に1回通院治療していただいています。今まで継続して治療をされていた方がコロナ禍で治療を自主的に中断してしまい、状況が落ち着いた頃に治療に来られると、以前よりかなり状態が進行しています。ご自身のメンテナンスだけでは無理ですから当然状態は悪くなります。

「歯周病」について詳しく教えてください。

「歯周病」とは、歯の周りの組織の炎症のことを言います。「歯周病」の初期が「歯肉炎」です。この段階では、歯磨きをした際に、歯ブラシに血がにじんだり、口をゆすいだ時に血が混じったりします。歯というのは、歯肉と硬組織(象牙質、エナメル質、セメント質)がピタッとついているのではなく、少し溝があり物が入りやすい状態になっています。健康な歯は歯肉が引き締まっていますが、炎症が起きると歯肉が膨らむので、より物が入りやすくなるのです。通常溝の深さは2~3mm程度ですが、進行すると炎症によって歯の付いている位置も下がってきますので、さらに溝が深くなっていきます。深くなるにつれて溝の掃除もやりにくくなるため炎症がどんどん進んでいきます。やがて歯を支えている周りの骨まで溶かしてしまうのです。そうなると歯がグラついていきます。これが「歯周病」の重度の状態です。そのままにしておくとその歯はもちろん周りの歯も抜けてしまうことになるのです。ですから、治療を中断してしまうとかなりのリスクが生じます。

入れ歯の場合、義歯が欠けたのに受診されずに放置しているとどのようなことになるのでしょうか?

入れ歯には「総入れ歯」と「部分入れ歯」があります。ピンク色の「床」と呼ばれる部分が欠けてもそれほど問題はないですが、例えばバランスを考えて付けているバネの一つが折れてしまうと、他のバネにかかっている歯に負担がかかってしまい、その歯が悪くなるということがあります。「総入れ歯」の場合は、「床」が一部欠けても支障なく使っていただいておれば良いのですが、欠ける場所によっては、入れ歯がはずれることがあります。「総入れ歯」は辺縁封鎖といってゴムの吸盤と同じ様に周りがピタッとくっついて、中央に少し空間があります。ですから、欠けることによって部分的にすき間ができてはずれやすくなるわけです。会話の最中にはずれたり、食べ物が噛みづらくなったり、また歯茎にとってもよくありません。

口腔ケアは感染症予防に役立つのでしょうか?

「口腔内の細菌がコロナウイルスを助長するので、口腔内はきれいにしておかなければいけない」と最近よく言われています。ただ口腔内には「常在菌」があり、すべての細菌を除去することは不可能ですが、口腔ケアをしっかり行うことで、感染症予防にもつながりますし、特に歯周病には効果的だと思います。

一般歯科治療や入れ歯にとっての定期検診やアフターフォローの重要性についてお聞かせください。

当クリニックでは、定期検診として

  1. 歯茎のチェック
  2. 磨き残し、歯石の除去
  3. 虫歯のチェック→虫歯があれば引き続き治療
  4. 口腔内クリーニング

を半年に1度行っています。また、歯のレントゲン撮影を2年に1度の目安で行うと、通常の定期検診では見つからなかった悪い箇所が確認でき、病状の進行を防ぐことができます。



――――――本日は、ありがとうございました。


お話を伺った先生:谷 啓次 先生(谷歯科クリニック・大阪市淀川区


【略歴】

  • 1984年 岐阜歯科大学(現 朝日大学歯学部) 卒業
  • 1984年~1986年 大塚歯科駅前第3ビル診療所勤務
  • 1986年~ 医療法人 谷歯科クリニック

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