手軽に始められる運動として、ジョギング、ランニングが中高年の間でブームになっています。マラソン大会が日本全国で盛り上がるなど、多くのランナーの目的が、「健康維持」から「チャレンジ」へと変化しています。今回はそんな市民ランナーが気になる『ランニングでの怪我』について、治療・予防方法をNクリニックの院長 中里 伸也 先生にお聞きします。
いろんな原因がありますが、まずは正しいランニングフォームで走っていないことが多いですね。低重心でストライド走法(歩幅を広く)で走る短距離の場合と、比較的高重心でピッチ走法(歩幅を狭くリズムを早く)で走る長距離の場合とでは、本来ランニングフォームや歩幅などが違うのに、短距離を走るように長距離を走る方が非常に多いです。故障の原因はフォームの違いが第一にあげられます。
また、学生の頃は走るのが速かったといっても、せいぜいマラソン大会では10kmあまりで、やはり42.195Kmとは距離が全然違いますね。
若いころより体重が増えている人がほとんどなので、身体にかかる負担のかかり方も多くなっていると考えられます。
続けることが重要ですが、無理な計画を立てると続かなくなるので、計画的に徐々に無理なく距離や頻度やペースを増やしていくようにした方が良いですね。
続けないと意味がないですし、レースが迫っているのにゆっくり構えていたら本番に間に合わないので、計画性と自分の可能なレベルを知ることが必要ですね。
膝の外の筋肉が炎症を起こす腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)[通称:ランナー膝、ランナーズニー]や お皿の下の靭帯である膝蓋靭帯炎(しつがいじんたいえん)[通称:ジャンパー膝]が多いですね。
また、アキレス腱炎、腰椎椎間板症、半月板損傷など、膝や腰のクッションを傷めることも多いです。
他には、筋肉の慢性疲労による損傷や脛骨や腓骨の疲労骨折も多いですね。
初心者は短距離を走るように長距離を走るので、膝の外側の腸脛靭帯炎や腓腹筋外側の損傷が多い傾向があります。
中級から上級になると、単にオーバーユーズになり、脛骨や足の疲労骨折、膝の半月板損傷、腰の椎間板症など、クッションを傷めることが多くなってきます。
また長距離でもスピードが上がってくると肉離れも起こすことがあります。
まずは正しいフォームで走ること。筋肉の疲労による筋硬直が起こると足関節や股関節の拘縮しやすくなり、腰や膝に負担が多くかかってきます。できるだけ走った後のケアを多くする必要があります。
また、冬場は特に身体が温まっていないうちにスピードを上げると筋肉を傷めやすくなります。十分なウォーミングアップが必要ですね。
また、自分に合った靴や靴の中のインソール、サポーターの工夫で病態の悪化や症状の出現を少なくすることができます。アスファルトなどの硬い路面ばかりで走ると傷めやすいので、土や芝の上など走る場所を工夫することも重要です。
やはり、水分不足による熱中症ですね。できるだけ昼間の暑い時間はさけて、早朝や夕方以降の比較的涼しい時間で走ることをお勧めします。
当院では、症状は疲労骨折による脛骨や足の痛み、膝の痛み、腰の痛みが多いですね。
痛みがない程度に徐々に距離やスピードを上げるようにお話ししています。できるだけ練習のためには薬は使わず、ストレッチやアイシングなどの身体のケアをして痛みがない程度に走るようにも指導しています。また、足や膝の問題がある場合にはインソールを作成したり、テーピングや装具などの処方もしております。
――――――本日はありがとうございました。
お話を伺った先生:中里 伸也 先生(Nクリニック・大阪府岸和田市)
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