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2015年 「夏に要注意 紫外線対策と皮膚がんの最新治療」 – 田所クリニック 田所 丈嗣 先生

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紫外線対策と皮膚がんの最新治療について、田所クリニックの院長 田所 丈嗣 先生にお話しを伺いました。

これからの季節、海や山でレジャーを楽しむことが多くなりますが、紫外線対策を怠ると、どのような病気につながるのでしょうか。

紫外線対策をしないと、皮膚がんが発症すると共に、光老化の原因にもなってきます。

光老化とはどのような病気なのでしょうか。

光老化とは、長時間紫外線に当たることで、シミ・しわが生まれたり、皮膚がたるむ、皮膚が硬くなる、というような症状があります。

特に女性にとっては怖い事ばかりですね。

そうですね。また紫外線に当たる事で光老化だけではなく、紫外線の蓄積によって皮膚がんの前段階である「日光角化症」の原因にもなります。長期間日光に当る事により、大体60歳以上の方に多いのですが、顔・首・腕などに発症してきます。大体1センチぐらいの大きさで、色は赤系や茶色系があるのですが、時々カサカサしたような状態で発症してきます。このまま放置しておくと、皮膚がんへと進行していく可能性もあります。

こういった日光角化症や皮膚がんにならないようにするには、やはり紫外線対策が必須ですよね。

その通りです。外出する際は必ず日焼け止めを塗って頂くことをお勧めします。
日焼け止めクリームには、PAとSPFという数値があります。
PAというのは、しみ・しわ・たるみの原因となるUVAという紫外線を防止する効果があり、SPFは、赤くなる日焼けの原因であるUVBを防止する効果があります。
実は日焼け止めクリームには目的によって使い分けがあり、
・長時間外出しない、近くの散歩・買い物・庭仕事などの場合にはPAが+や++、SPFが10~20のもの
・屋外での軽いスポーツをする場合にはPAが++や+++、SPFが20~30のもの
・真夏の海水浴、夏山での登山、炎天下でのスポーツをする場合にはPAが+++や++++、SPFが40~50、またはそれ以上のものを
使い分けるのが良いと思います。

なぜ使い分けの必要があるのでしょうか。

数値が高いものはそれだけ効果が高い気がするかもしれませんが、場合によっては副作用が出る可能性があるため、数値の低いものを、大体2~3時間おきにこまめに塗り直してもらうのが良いと思います。

ここからは皮膚がんについて詳しくお聞きします。皮膚がんと言っても、さまざまな種類があるのでしょうか。

はい、皮膚がんの種類では、基底細胞がん・有棘細胞がん・メラノーマ(悪性黒色腫)と呼ばれるものがあります。皮膚がんの種類によっては発生する部位にも違いがあります。

皮膚がんの中で一番多いタイプはどれでしょうか。

一番多いものは、基底細胞がんになります。基底細胞がんは8割が顔に出来て、高齢者に発症するケースが多いです。ほくろの様に見える事が多く、少し黒がかっていて盛り上がりがある場合が多いです。

突然、ホクロのようなものが出来るという事ですか。

そうです。発生後徐々に盛り上がりが大きくなっていきます。ただし元々あるホクロが基底細胞がんになることはまずありませんので、ご安心ください。

皮膚がんの中で最も恐ろしいものはどれでしょうか。

一番怖いと言われているのが、メラノーマ(悪性黒色腫)です。紫外線によって発生する事もあるのですが、死亡率が非常に高く、放置しておくと、リンパ節・肝臓・肺などに転移することがあります。転移先で悪さをし、死に至る事もあります。

皮膚がんが臓器などへ転移するのは怖いですね。メラノーマはどのようにして出来るのでしょうか。

紫外線から体を守るメラニンがあるのですが、メラニンを生み出すメラノサイトという細胞が、がん化したものがメラノーマとなります。

普通のしみと、メラノーマの見分け方について教えて下さい。

典型的な場合は、ある程度見ただけで分かる場合もあるのですが、
・形がいびつで左右不対象のもの
・周りがぼやけていて色の境界が不明瞭なもの
・黒ずんでいる中に濃い所と薄い所があるような、色調が不均一なもの
このような特徴があると、メラノーマを疑うということになってきます。

また日本人にはメラノーマが、体の末端である手足に出来やすいと言われているため、足の裏や手にホクロのようなものが出来たという方は、念のため皮膚科を受診して頂く方が良いと思います。ただし足の裏のホクロが全て悪性というわけではありません。

メラノーマは早期発見できれば9割以上、少し進行した状態でも7割以上の方が治療で治ると言われています。やはり早期発見・早期治療が最も重要と言えます。

なるほど。では、基底細胞がんの治療について教えて下さい。

基底細胞がんの場合は、ほとんど転移することは無いのですが、基本的には手術で切除してしまいます。ダーモスコープという機器を使って、ホクロのようながんを拡大して観察し、これが基底細胞がんかどうかを見分けます。

他には検査はありますか。

この他には、生検という検査を行います。切り取った細胞を顕微鏡で詳しく調べ、どのようながんなのかを確認してから、手術により全て切除してしまう、という流れです。

では、皮膚がんの中で最も危険と言われるメラノーマの治療について教えて下さい。

ダーモスコープを使う事もありますが、これは補助的診断に使うものです。メラノーマは転移しやすいがんなので、PET(陽電子放射断層撮影)やCT(コンピューター断層撮影)を使い、全身検索を行うことがあります。治療は基本的には手術です。がんの端から5ミリ~数センチ離して全て切除します。場合によっては、リンパの流れの最初に入ってくるリンパ節を調べ、それ以上先に転移してないかどうか調べる事もあります。

では皮膚がんを早く見つける為のアドバイスをお願いします。

ホクロ・シミが大きくなったり増えてきたなと思ったら、早めに皮膚科を受診して頂く事をお勧めします。歳のせいで増えたと思い込むのは危険です。ただし、皮膚がんは早期発見すればある程度治せる病気なので、この機会に全身のホクロやシミをチェックしてみてはいかがでしょうか。

最後に田所クリニックでは、どのような診療・治療をされてるのでしょうか。

皮膚科専門医ならびに形成外科専門医として、一般的な皮膚疾患だけではなく、外傷や皮膚腫瘍、色素性疾患に対する専門性の高い診療をしていますが、メラニンに関係する疾患全てに対応できるよう、最新の検査機器や治療装置を備えています。悪性が疑われる場合には、全く痛みの無いダーモスコープによる検査を行い、日光角化症や基底細胞癌などの悪性度が比較的低い悪性腫瘍の治療はもとより、一般にホクロと言われる色素性母斑に対しても炭酸ガスレーザーや切除術を行って出来るだけ目立たないよう治療します。また、シミの種類によって、Qスイッチ=ルビーレーザーや光+高周波治療器ePlusなどの特殊な機器を使い分けています。このePlusという治療器は、肌の張りやキメを改善する効果も高く、多くの女性に喜ばれています。皮膚の色が抜けてしまう白斑に対しては、エキシマ=システムというナローバンド紫外線照射器による治療も行います。当クリニックの目指すゴールは「美しい素肌」です。したがって、当クリニックでは、美容外科手術や効果が明らかではない治療には頼らず、可能な限り少ない侵襲で、少し前の素肌の美しさに近づける治療を主眼としています。



 

――――――本日はありがとうございました。

お話を伺った先生:田所 丈嗣 (たどころ たけつぐ)先生(田所クリニック・兵庫県西宮市

【略歴】

  • 昭和62年 3月 大阪大学医学部卒業
  • 昭和62年 5月 大阪大学医学部附属病院にて臨床補助の研修に従事
  • 昭和62年 7月 大阪警察病院 形成外科医員(研修医)
  • 昭和63年 7月 大阪大学医学部附属病院医員(研修医)
  • 昭和63年11月 公文病院 外科医員
  • 平成元年11月 兵庫県立こども病院 形成外科医員(研修医)
  • 平成 2年 5月 大阪大学医学部研究生(皮膚科学教室)
  • 平成 2年10月 大阪大学医学部附属病院医員
  • 平成 3年 7月 大阪船員保険病院医師(形成外科)
  • 平成 6年 4月 大阪大学医学部研究生(皮膚科学教室)
  • 平成 6年 7月 大分医科大学助手附属病院(皮膚科学教室)
  • 平成 8年 5月 大分医科大学助手医学部(皮膚科学教室)に配置換
  • 平成 8年 7月 大阪大学助手医学部(皮膚科学教室)に転任
  • 平成11年 4月 大阪大学助手大学院医学系研究科に配置換
  • 平成11年 4月 米国国立衛生研究所(NIH)(Postdoctoral Visiting Fellow)
  • 平成14年 4月 大阪大学助手大学院医学系研究科復職
  • 平成15年 4月 大阪大学講師大学院医学系研究科
  • 平成16年 4月 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター皮膚科科長
  • 平成22年 4月 大阪大学医学部臨床教授併任
  • 平成24年 4月 日本皮膚科学会認定専門医主研修施設責任指導医
  • 平成26年 8月 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター円満退職

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