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2017年 「2017年のインフルエンザについて」- うにし小児科 医師 卯西 元 先生

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2017年のインフルエンザについて、うにし小児科の院長 卯西 元 先生にお話を伺いました。

今年のインフルエンザの流行について、どう予想されているのでしょうか?

季節性インフルエンザの流行は、従来12月末から始まり、年明けの1月から2月にピークを迎えます。
しかし、今年は流行が例年より少し早いと思われます。今年の9月から首都圏などで小中学校の学年学級閉鎖が相次ぎ、すでに17都府県でインフルエンザの発生が報告されています。この9月に入ってからの1か月間で、全国では1,021名のインフルエンザの患者さんの報告がありました。また大阪府ではこの1週間で43名のインフルエンザの患者さんの発生が報告されています。

今年のインフルエンザワクチンはどのようなものでしょうか?

2015年以降、わが国のインフルエンザワクチンにはA型2種類とB型2種類の4種類のウイルス株を含む4価ワクチンが使用されるようになりました。(それまでは、A型2種類とB型1種類の3価ワクチンが使用されていました。) 季節性インフルエンザワクチンに使用されるウイルス株は、世界的な流行状況を参考にしながら検討され、毎年5月~6月頃に厚生労働省より最終決定され公表されます。その情報を元に各製薬会社がワクチン作成を行います。
今年度の季節性インフルエンザワクチンは、インフルエンザA(H1N1)亜型(インフルエンザ(H1N1)2009と同じ亜型)、A/H3N2亜型(いわゆるA香港型)、B型(山形系統)、B型(ビクトリア系統)の4種類が含まれた4価ワクチンです。
本年度はA型の株が一つ変更されていますが、その他の三つの株は2016年度と同じになっています。
ただ、2017年5月に厚生労働省が発表していたA型株では製造効率が悪いということが途中で分かり、7月に他の株に変更されたため、本年度のワクチンは製造に手間取り、出荷が遅れているようです。そのため、2017年10月6日、インフルエンザワクチンの製造量が、過去5年で最も少ないことが厚生労働省から発表されました。今年は早めにワクチンを予約された方がいいでしょう。

予防接種以外に、インフルエンザの予防対策はあるのでしょうか?

一番大切なのは、咳やくしやみの時に出る飛沫を浴びないようにすることです。マスクが有効です。流行期に人が多く集まる場所に出かける場合や交通機関を利用する際は、ぜひマスクを着用してください。特にインフルエンザシーズンに医療機関を受診される際もマスクをして行きましょう。
そして、外出後はうがいと手洗いをすること。温かい緑茶でのうがいと飲用は予防効果が期待できます。また、お部屋の乾燥を避け加湿することも効果的です。空気が乾燥すると気道粘膜の防御力が弱まり感染しやすくなるのです。加湿器の使用や、濡れたタオルを部屋に干すのもいいでしょう。
抗インフルエンザ薬の予防投与(内服、吸入)も有効ですが、その使用にあたってはタイミングや条件がありますので、医師とご相談ください。

インフルエンザに感染したらどんな症状がでるのでしょうか?

突然の高熱と全身倦怠感、頭痛、関節痛、筋肉痛を伴って発病します。
咳や鼻汁がこれに続きます。いわゆる「かぜ」に比べて全身症状が強いことが特徴です。インフルエンザの感染を受けてから発病するまでに期間(潜伏期)は約1~3日間です。
高齢者の方や、呼吸器、循環器、腎臓に慢性疾患を持つ方、糖尿病などの代謝疾患、免疫機能が低下している患者さんは、元の病気が急激に悪化したり、呼吸器に二次的な細菌感染症を起こしやすくなることが知られており注意が必要です。
また、5歳以下の乳幼児では毎年50~200人のインフルエンザ脳症患者が報告されており、その約10~30%が死亡しています。
小児ではインフルエンザ罹患時に熱性けいれんを合併しやすく、また異常な言動・行動も時々認められます。しかし、このような症状がインフルエンザ脳症の初発症状であることがあり注意が必要です。インフルエンザ流行期に突然発熱し、何らかの神経症状(意識障害、けいれん、異常言動・行動) があれば、直ちに入院設備のある病院を受診しましょう。

家族がインフルエンザに感染したらどうすればよいのでしょうか?

まず家族内への感染拡大を予防することが重要です。感染した患者さんの隔離が必要です。特に小さな赤ちゃんや高齢者がおられる場合は部屋を別にして、決して患者さんに近づかないこと。
しかし、お子さんがインフルエンザに感染した場合は、決して一人にしないで常に監視することが大切です。インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染と接触感染ですので、看病する方はマスクを着用し、手洗いをこまめにすること。手指のアルコール消毒も有効です。
そしてお部屋をこまめに換気し、かつ加湿をしっかりしてください。お部屋の湿度は50-60%以上が理想的です。
抗インフルエンザ薬の予防内服、吸入も有効です。特に同居されている方が65歳以上の高齢者の場合や慢性呼吸器、慢性心疾患、糖尿病などの代謝性疾患、腎機能障害のある方の場合は、健康保険で抗インフルエンザ薬の予防投薬を受けることができますので、かかりつけの医師にぜひご相談ください。

インフルエンザ感染したら、どのようにすればよいのでしょうか?

早めに医療機関を受診しましょう。その際、感染拡大防止のため、必ずマスクを着用して受診してください。発症後48時間以内に抗インフルエンザ薬による早期治療を行えば、発熱期間が短縮されます。
そして安静を保ち十分休養すること。水分を十分に補給しましょう。決して職場に出かけたり、登校、登園してはいけません。
また、小児や未成年者がインフルエンザに感染した場合、“急に走り出す”、“部屋から飛び出そうとする”、“ウロウロと歩き回る”等の異常行動を起こすことがありますので、自宅療養中は決して一人にならないように注意してください。
お子さんの場合、発熱後5日間は隔離が必要で、合併症がなければ解熱後2−3日してから登園、登校が許可されます。必ず医師の診察を受けてから登園、登校してください。

インフルエンザの予防接種はいつごろ受ければよいのでしょうか?

インフルエンザは例年12月~3月頃に流行し、例年1月~2月に流行のピークを迎えます。インフルエンザワクチンは13歳未満の方はおよそ2〜4週間隔(3~4週間隔がベター)で2回接種、13歳以上の方は1回接種です。ワクチン接種による効果が出現するまでに約2週間程度を必要としますので、遅くとも12月中旬までにワクチン接種を終えるようにスケジュールを立てましょう。尚、現在のインフルエンザワクチンの予防効果が期待できるのはおよそ5か月程度と考えられていますので、毎年接種する必要があります。

インフルエンザの予防接種は健康保険が使えるのでしょうか?

予防接種には健康保険は使えません。自費接種となります。
ただ、加入している健康保険組合、勤務先、自分の住んでいる地域の自治体などがインフルエンザ予防接種の費用補助を行っている場合がありますので、確認されるとよいでしょう。

インフルエンザの予防接種を受ける際に気をつけることは何でしょうか?

まずインフルエンザワクチンの説明書をよくお読みになって、予診票を詳しく記載してください。お子さんの場合は、健康状態をよく把握されている保護者の方が記入してください。
予防接種は体調のいい時に受けるようにしましょう。発熱時はもちろん接種できませんが、発熱がなくても何らか病気の治療中に接種を受けられる際は、必ず主治医の意見をお聞きになってから接種を受けてください。
妊婦の方へのインフルエンザワクチン接種は、インフルエンザの重症化予防に有効で、母体や胎児への危険性は極めて低いとされています。ただ、通院されている産婦人科以外での接種を希望される場合は、産婦人科の主治医の先生の意見をお聞きになってから接種を受けてください。
また、お子さんの場合、他の予防接種との接種間隔を確認する必要がありますので、必ず母子手帳を忘れずに持っていきましょう(生ワクチン接種後4週間以内、不活化ワクチン接種後1週間以内の方は接種できません)。
そして、これはすべてのワクチン接種の際に共通の注意点ですが、ワクチン接種後すぐに医療機関を離れないようにしてください。特にアレルギー体質の方は接種後30分ぐらい、アレルギー症状が出現しないかを院内で観察してから帰宅してください。
接種当日の入浴は可能ですが、激しい運動や飲酒は控えた方がいいでしょう。



――――――本日はありがとうございました。

お話を伺った先生:卯西 元 (うにし げん)先生(うにし小児科・大阪府枚方市

【専門・所属】

  • 日本小児科学会認定小児科専門医
  • 日本腎臓学会認定腎臓専門医
  • 日本小児科医会認定 子どもの心相談医
  • 日本小児科医会 地域総合小児医療認定医
  • 大阪府難病指定医
  • 日本小児科学会近畿地区資格認定委員
  • 大阪小児科医会参与
  • 枚方市立幼稚園小中学校腎臓検診協議会委員
  • 枚方市立開成小学校校医
  • 常称寺保育園園医
  • さだ保育園園医
  • 枚方市立枚方保育所嘱託医
  • おおがいと小規模保育施設嘱託医
  • 日本小児科学会
  • 日本小児腎臓病学会
  • 日本腎臓学会
  • 日本小児感染症学会
  • 日本小児アレルギー学会
  • 日本アレルギー学会
  • 日本小児心身症学会
  • 日本小児科医会
  • 大阪小児科医会
  • 日本外来小児科学会
  • 日本小児保健協会

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